店長さんの話18
263:店長 ◆jm3OWqb0ac [sage]10/03/12(金)12:317AhORwL10
さて、何から書いてよいものやら……。

加代さんは時々、「はしご……」とつぶやく時があったんですよ。
その意味するところがわからず、聞いても教えてくれなかったんですが。
二日ほど前、いつものように加代さんにお茶を出そうとしたら、
また加代さんが「はしご」とつぶやいたんです。
その瞬間、白昼夢というんでしょうか、眼球のすぐ前で映画のスクリーンがあるみたいな、
起きているのに夢を見たような感じです。

加代さんが結核とわかると、加代さんの父親は加代さんを土蔵の2階に移しました。
でも土蔵にはトイレがないので、トイレの時は、母屋へ行くわけです。
加代さんは気を使って、下働きの人達用のトイレを使っているんですが……。
裏庭みたいなところにあるトイレに行った帰り、たまたま外から帰ってきた弟とバッタリ会い、
もともと仲のいい姉弟ですから、しばらく話しこんだんです。
それを父親にみつかってしまいました。
「おまえは大事な跡取りに、病気を移す気ぃか!」と怒鳴られ、平手打ちまでされ……。
土蔵の2階に放り込まれると、「便所ならこれにせい!」と蓋付きの桶を投げ込まれ、
蔵の2階に上がるためのはしごを外されてしまいました。
完全に閉じ込められてしまったんです。
閉じ込められた加代さんの唯一の慰めが、せいきちさんでした。
こっそり蔵に入っては、はしごをかけて2階に上がり、加代さんにお菓子やタマゴを届けてくれました。
でもそれも父親にみつかってしまい、「病人のくせに男を引っ張りこみやがって」と、
蔵の戸にカギをかけられてしまいました。
以降、蔵の窓だけが、加代さんを外界とつなぐ唯一の場所になってしまいました。

文章にすると長くなりましたが、夢?は10秒もなかったと思います。
80年前の話とはいえ、父親に対して、殺意をおぼえましたよ。
実の親の仕打ちかと。本当に金、金、金しか頭になかった人だったんでしょうね。
これを書きながらも、怒りでいっぱいで、涙が出ました。
さっきお供えのまんじゅうとお茶を置きながら、「自由にしていいんだからね」と声をかけました。
265:[sage]10/03/12(金)22:33LjjdY0Us0
>>263
実にけしからーん!
タイムスリップして、親父に天誅くだしてやりたいですな!
♪テーテーテテーテテテッテッテッテッテー(バックトゥザフューチャーのテーマ)
266:[sage]10/03/12(金)23:58sqWGEzWD0
加代さん可哀そすぎ・・・
最低な親父だな、まったく。
いたたまれない思いです。

店長さん、加代さんに優しく接してくれてありがとう。
267:[sage]10/03/13(土)00:15v1NhqZu8O
>>263
最後の一行に泣いた
。・゚・(ノД`)・゚・。
268:[sage]10/03/13(土)00:315/lBGNuPO
店長さん…
好きだ!!
269:店長 ◆jm3OWqb0ac [sage]10/03/13(土)12:22XahMTEno0
あたたかいお言葉ありがとうございます。
父親からの呪縛のようなものが解ければ、加代さんも成仏できるのでは?と思うようになりました。
えべっさん祭りに一緒に出かけたりはできたので、もっと外に連れ出せたら、と思います。

だいぶ前に見た夢なんですが、書く機会を失っていたので、今書いてしまいます。
加代さんに関する夢には、もう一人、おじいさんが登場します。
長い間加代さんの店に住み込みで働いているおじいさんなんですが、加代さんが蔵に閉じこめられた後は、
「病気が移っても年寄りだからかまわん」と、自ら加代さんの身のまわりの世話を買って出た方です。
加代さんがせいきちさんを好きなのも知っているようで、蔵に閉じ込められた加代さんが、
髪をとかすことができずに困っていると、せいきちさんにそれを伝えて、せいきちさん、加代さんに櫛をプレゼントしてるんです。
でもその櫛、加代さんが持つにはあまりにも子供っぽいデザイン(水色地に黄色いウサギの絵w)で、そのおじいさん溜息ついてるんですけどw。
蔵の窓から投げ込まれた櫛を、加代さん、死ぬまで大事にしています。
加代さんが亡くなった時に、遺体を乗せた大八車を引いているのも、このおじいさんです。
おじいさん、加代さんの懐に、この櫛を入れてあげてます。
暇をとって、加代さんの死を海軍にいるせいきちさんに伝えにも行ってます。
(せいきちさんは広島にいたみたいです)。

長くなってすみません。
加代さんには、せいきちさん以外にもあたたかい人がいたらしいことを知ってほしくて書きました。
このおじいさんエピソードは他にもあるので、また書きます。
270:[sage]10/03/13(土)16:41LK0FUQdr0
ちょwwせいきちさんのセンスwww

…と思ったが、せいきちさんの中では永遠に「妹」だったのかな。
切ないなぁ。
今は店長さんと出会えて、幸せだろうけど…うーん。
271:[sage]10/03/13(土)20:22mdOU2/NF0
当時、加代さんは本当につらかっただろうけど
こいさんに優しく、最後まで忠義を尽くすような
そんなおじいさんがおられて、よかった・・・

おじいさんの話、またどんどんしてください
272:[sage]10/03/14(日)00:35tZKra0UZO
>>269
じいちゃん
。・゚・(ノД`)・゚・。
273:[sage]10/03/14(日)06:50jEUOJGyp0
せいきちさんにとっては幼い頃から知ってる女の子だし、
ついでに女心にいまいちうとい人だったのかもしれんが…
櫛を見た爺様の顔が目に浮かぶようだw
店長さんの文章を読むだけのこちらにとっては、
仲の良い姉弟、せいきちさん、おじいさんが加代さんの人生にいてくれた事が救いだなあ…。
274:[sage]10/03/14(日)11:58KH/AHw5x0
じいちゃん、いい人だ。もらい泣きだよ…。
俺はここで加代さんの事を読むだけの立場だけど、じいちゃんにはありがとうって言いたい。
どれだけ加代さんは救われたんだろうって思うと、ありがとうしかない…。
275:[sage]10/03/14(日)22:11K5nYH4zg0
加代さん。・゚・(ノД`)・゚・。
悲しすぎるよ。
ホントにやすらかに成仏していただきたい。
来世はきっと幸せになれますように せいきちさんにあえますように。
276:店長 ◆jm3OWqb0ac [sage]10/03/15(月)22:32h7WCWulv0
あまりおじいさんのことを書きすぎるとスレ違いになるので、自重しますが……。
若い頃はさぞやモテたであろう、男前なおじいさんです。
おじいさんから見た せいきちさんは、歯ぎしりしたいほど鈍かったことでしょうw。
夢で見た、せいきちさんの櫛は、俺も笑ってしまいました。
もっと赤とかのおしゃれな櫛は考えなかったのかとw。
しかも柄が、うさぎさんですよ、うさぎさんw。
せいきちさんからのプレゼントでなければ、加代さんも笑ったでしょうね。
いや、加代さんが健康だったら、絶対にポイってしたと思いますw。

携帯の規制が、また続いていますね。保守かねて、けっこう書いてしまいました。
他のみなさんが早く書き込めることを願いつつ。
277:[sage]10/03/15(月)22:47c3TyS1f/0
健康ではないから微妙なことも分かるんだよね
櫛の見た目だけの話じゃなくって。
278:[sage]10/03/16(火)04:55H4HX9sO40
でも戦前に水色+黄色の模様ってけっこうオシャレな気もする
279:[sage]10/03/16(火)06:25z62M5MSm0
しんみりする話だなあ…
店長さん、良かったらもう少しだけ いけてるおじいさんの話聞かせてもらえないですか。

それとまとめサイトってありましたっけ?
280:[sage]10/03/16(火)10:05fRLH/B3/0
じいちゃんでも清吉たんでも
いいから加代さんに会いに来てくれんかのう。
窓辺でいつまでも誰かを待ってる
加代さんが切ないよ。

わらしの死因はなんなんでしょうね。
282:店長 ◆jm3OWqb0ac [sage]10/03/16(火)12:57sQJTLmOd0
>>278
かわいいうさぎさん柄でなければ、おしゃれだったかもしれません。
見るからに小学生向けなデザインです。
加代さん、その櫛、今は持ってるのかどうか……。
わらしの髪の毛をくしゃくしゃにした時、「櫛!」って怒られましたから。

>>279
以前書いた、加代さんがおつかいの帰りに日が暮れて途方にくれてるところに、
せいきちさんが迎えに来たエピ。
あれ、本当はおじいさんが行こうとしたところに、せいきちさんが帰ってきたので、
チャンスとばかりに、せいきちさんを迎えに行かせてるんです。
帰ってきた二人を見て、「かーっ、手ェぐらいつながんかい!」って思ってるおじいさんがステキでした。
この時代の人にしては、男女関係におおらか?だったみたいで。
蔵に閉じ込められた加代さんのもとへ、せいきちさんが見舞ってる時は、
せいきちさんがいっそこのまま、加代さんを連れて逃げてくれれば、とも思ってたみたいです。

>>280
わらしは流行り病で死んだみたいです。確信はないですが、そんな気がします。
283:[sage]10/03/16(火)13:46wykwi7Wi0
>>282
せいきちさん、多分セルロイドのカラフルな櫛を探したんでしょうかねえ…。
女の子っぽいカワイイの…→うさちゃん発見→(・∀・)イイ!! だったのかなw
しかし、大人なオサレに憧れるお年頃のお嬢さん向きではなかったという。
せめて赤や飴色にワンポイントうさちゃんとかだったら…。
加代さん、懐から出すのがちょっと気恥ずかしかったんだと思っとこうw

大正期にじいさまという事は、ギリギリ江戸時代な生まれかな。
若い頃には日本髪のおねいさんに櫛や簪を贈ったことがあったかもしれない
男前な爺様からしたら、もう見てらんない!って感じだったのかも。
284:たまにぃ ◆IhkQ0Osxz1V7 [sage]10/03/16(火)16:07FWOCFUCm0
>>282
加代さん本当にいい人に恋心をいだいてたんですね・・・。
おじいさんのそうやって、根回ししてあげる優しさが
せいきちさんが気づいてくれてたらと、本当に悔やんでも悔やみきれないですw
288:宴会 ◆oD5bm0HCKc [sage]10/03/16(火)18:47yPXNbOzl0
たまちゃんも、加代さんも、悲しすぎます(T^T)
いっそ、たまにぃさんや店長さんが見たものが
間違ってればいいのに……

生前の分、今、穏やかに過ごせてますように。
290:[sage]10/03/16(火)20:59BFi2fDv90
たまちゃんや加代さんの生前のお話を聞くと、時代のせいだけでは片づけられない憤りを感じます。
お二人がたまにぃさんや店長さんとご縁が出来たのも、せめてもの神様の思し召しと思いたいです。

加代さんをお世話されてたいなせなおじいさん、奥田瑛二で脳内変換されましたw
291:[sage]10/03/16(火)21:33BwAuZPad0
我々が今出来る事は、亡くなった皆さんのお幸せを祈る事だけだね。
きっと次は幸せに生まれて来ます。きっと。
293:店長 ◆jm3OWqb0ac [sage]10/03/17(水)12:24jIJfV8gO0
たまちゃん、かわいそうすぎです。
おおらかなイメージしかなかったので……。
加代さんもたまちゃんも、おそらくわらしも、つらい思いをしたあとに、孤独な死を迎えたようですね。
悪霊となっていても仕方のないような死に方をしているのに。
俺やたまにぃさんの使命は(なんて書くと大袈裟ですが)、彼女たちが生前に味わえなかった、
女の子らしい幸せを楽しませてあげることでしょうか?

>>283
おじいさんは、まさに明治維新の激動期を生きられた年代ですね。
俺の曽祖父が黒船来航の年に生まれ、戊辰戦争に参加したらしいので、
その年代だと思われます。
>>290
奥田瑛ニ、いいキャスティングですね。
おじいさんは、仲代達也を細くやさしくコメディタッチにした感じです(わかりにくいわ!w)。
294:[sage]10/03/17(水)16:43Tgy5xWfN0
ここで加代さんやたまちゃんのことを
店長さんやたまにぃさんが書くことが偶然でないなら、
それを我々が読んで知ることも偶然ではないのかもしれない。
誰かや何かがそうさせてるなら、そいつは俺たちに何をさせたいんだろう
な?
297:[sage]10/03/17(水)22:24NKM7YLoM0
「歴史は俺たちに何をさせようとしているのか?」 by戦国自衛隊
298:[sage]10/03/17(水)22:46VZ4JiYOi0
>>297
全滅ENDは勘弁してください
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